戸田恵梨香のキャリアにおいて最も不穏な空気で報じられたのが、2021年秋の降板騒動でした。同年11月にクランクイン予定だった映画、そして2022年4月期の民放主演ドラマを立て続けに降板したと女性週刊誌各社がスクープしたのです。
一部のメディアやネット上では「共演者との不仲」「精神的な不安定さ」「ある女優との絶縁」といった根拠のない憶測が飛び交い、彼女が危機的な状況にあるかのような論調が散見されました。しかし、取材を重ねた業界関係者および本人の発言から浮かび上がった休養の本当の理由は、極めてシンプルな「心身の極限的なオーバーワーク」でした。
彼女は2019年から2020年にかけてNHK連続テレビ小説『スカーレット』でヒロイン・川原喜美子の波乱万丈な半生を約1年間にわたり全身全霊で演じ抜きました。朝ドラの過酷な撮影を終えた後も歩みを止めることなく、2021年1月期『俺の家の話』、さらには同年7月期『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』と連続して重責ある役柄を完走。感情を削り出しながら演じる彼女のストイックなスタイルは、本人が自覚する以上に神経を消耗させていたのです。
この騒動に対し、戸田恵梨香は2021年10月27日、自身の公式インスタグラムで次のような異例の声明を発表しました。
「どれだけ多くの人が巻き込まれていくのかどれだけ嘘をつかれ続けたら気が済むのか」「私に関する事は私から発信されるもの以外そこに事実はありません」
裏取りのない一方的な報道や私生活への盗撮に対してきっぱりとNOを突きつけたこの投稿は、多くの共感と支持を集めました。所属事務所フラームも「虚偽の報道に対しては法的措置を講じる」と強硬な姿勢を示し、メディアの暴走に歯止めをかけました。静養期間を経た彼女は、翌年秋の映画『母性』のプロモーションなどで見事な輝きを取り戻して公の場へ復帰。あの休養は、長く役者を続けるために必要な「勇気あるブレーキ」だったのです。