日本国内の伝承や歴史的事件においても、特定の植物が忌み嫌われてきたエピソードは枚挙に暇がない。戦国時代の武将・佐々成政にまつわる「黒百合姫」の伝説はその筆頭だ。成政の妾である早百合姫が不貞の疑いをかけられて処刑される際、「立山にクロユリが咲く頃、佐々家は滅びるであろう」と怨念の呪詛を吐いたと伝えられている。この怪異な伝承から、この花には「呪い」や「復讐」という不穏な意味が強く刻み込まれることとなった。
一方、墓地や田の畦道に群生するヒガンバナもまた、「悲しい思い出」や「あきらめ」、「再会(死世での)」を意味する花として広く認知されている。その燃え立つような赤さと、球根に含まれるアルカロイド毒が相まって、古くからあの世とこの世を繋ぐ境界の花として人々に恐れられてきたのである。