こうした身体構造の理解は、一朝一夕に築かれたものではない。19世紀、チャールズ・ダーウィンが進化論の構想を練る中で注目したのも、鳥類の骨格と筋肉の多様性だった。種ごとの生態に合わせた微細な形態変化は、自然選択説を補強する強力な証拠となった。
その後、比較解剖学と鳥類学の融合によって研究は爆発的な進展を見せる。恐竜から鳥類への進化プロセスにおいて、胸骨の竜骨突起がどのように発達し、大胸筋の付着面を広げていったのか。化石の骨格痕跡と現代の鳥類を比較することで、かつて巨大な太ももの筋肉に頼っていた陸上生物が、いかにして胸の筋肉を主役に据えた空の覇者へと変貌を遂げたのかが解明されつつある。