下積みの脇役時代を経て、ブロンソンの名を世界に轟かせたのが、ジョン・スタージェス監督が手がけた不朽の名作群です。なかでも1960年公開の『荒野の七人』で演じたベルナルド・オライリー役は、彼のパーソナリティが鮮烈に刻まれた名演として映画ファンの胸を打ち続けています。
劇中、村の少年たちから「命知らずのガンマン」として憧れられたオライリーが、子供たちを叱りつける名シーンがあります。「本当に勇気があるのは、家族のために泥にまみれて働くお前たちの父親だ」と諭すセリフは、炭鉱で家族を支え命を落とした自身の父親への思慕が込められたものでした。共演したユル・ブリンナーやスティーブ・マックィーンが撮影現場で派手なスター争いを繰り広げるなか、ブロンソンは一切群れることなく、黙々と木片をナイフで削りながら役柄と向き合っていたと当時のスタッフは証言しています。
さらに1963年の『大脱走』では、「トンネルキング」の異名を取るポーランド人捕虜ダニー・ヴェリンスキー役を熱演。脱出用トンネルを掘り進める過程で閉所恐怖症の発作に襲われ、取り乱す凄真に迫るシーンは、炭鉱夫時代に自身が味わったトラウマそのものをスクリーンに投影したものでした。
そしてこの現場で、映画史に残るもう一つの大胆不敵な逸話が生まれます。共演者であった名優デヴィッド・ニーヴンの妻、ジル・アイアランドに一目惚れしたブロンソンは、あろうことかニーヴン本人に向かって「俺はいつか君の妻と結婚する」と堂々と言い放ったのです。ニーヴンは英国紳士らしく笑って受け流したものの、ブロンソンは有言実行を果たし、数年後にジルが離婚すると正式に求婚。1968年に結婚へと至りました。この強烈な実行力と一途さは、ハリウッドの映画関係者の間でも語り草となっています。