椎名林檎『幸福論』歌詞の真実|悦楽編との違いや制作秘話を徹底解剖

椎名林檎『幸福論』歌詞の真実|悦楽編との違いや制作秘話を徹底解剖

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現在でこそ名曲と称えられる『幸福論』ですが、椎名林檎本人が当初からこの曲をデビューシングルに強く推していたわけではありません。デビュー曲決定の経緯には、レコード会社(東芝EMI・当時)の戦略と、10代の彼女が貫こうとした美意識との間に深いギャップが存在していました。

当時、すでに書き上げられていた楽曲ストックには、後に2ndシングルとなる『歌舞伎町の女王』や3rdシングル『ここでキスして。』、さらにはカップリング曲の『すべりだい』などが揃っていました。周囲のスタッフやレコード会社側は、「センセーショナルすぎる楽曲で色物扱いされることを避けたい」「まずはポップで受け入れられやすいメロディラインで地盤を固めるべきだ」と判断し、『幸福論』をデビュー曲に選定したという経緯があります。

しかし、本人は『幸福論』の過度に整えられたポップな仕上がりに対して、「本当の自分の音ではない」という違和感を抱えていたと当時のインタビュー等で回想されています。その反動として生まれたのが、アルバム『無罪モラトリアム』制作時に録音された「悦楽編」でした。「これが本来鳴らしたかった音だ」と言わんばかりの轟音ギターと歪んだ声は、商業主義的な枠組みに対する19歳の鮮やかなカウンターパンチだったと言えます。

小林 直樹
著者

小林 直樹

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。