「ブラジル産鶏肉が輸入停止になった」というニュースを目にして、安全性に問題があったのではないかと不安を感じた方もいるはずです。これは食品の変質や細菌汚染が理由ではなく、高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)の侵入を防ぐ防疫措置によるものです。
農林水産省は、家畜伝染病の国内侵入を防ぐため、輸出国で家禽(養鶏場など)に鳥インフルエンザが発生した場合、即座に該当地域からの輸入を一時停止する協定を締結しています。かつては国全体からの輸入を止めるケースもありましたが、現在は世界的な貿易基準に則り、発生した州や指定エリアのみを対象とする「地域主義(ゾーニング)」が適用されています。
たとえば、ブラジル国内のある州で野鳥や裏庭の飼養鶏から感染が確認された場合、その州からの輸入は迅速に停止されますが、非発生地域である他州の認定農場からの輸入は厳格な証明書付きで継続されます。この措置は日本の養鶏産業を守るための水際対策であり、流通している鶏肉そのものが病気に汚染されているわけではありません。ウイルス自体も加熱調理によって容易に不活化するため、適切に取り扱えば人体への健康被害リスクは極めて低いのが実情です。