近年の歴史調査プロジェクトによって解読が進んだ未公開文書。そこには、仙台藩主・伊達政宗が主導した大規模な新田開発と治水事業における緻密なコスト管理、そして米の流通を自藩でコントロールするための高度な市場戦略が記録されていた。
武力闘争の時代が終わりを告げるなか、政宗が着目したのは北上川流域の徹底的な開墾と、江戸という巨大消費地へ向けた米の海上輸送ルートの確立だ。仙台藩が生み出す高品質な米は「仙台米」として江戸市場の過半を占め、幕府のお膝元で圧倒的な経済的リーダーシップを握る原動力となった。しかし、政宗の野望は国内にとどまらない。太平洋を超えたスペイン領新スペイン(現メキシコ)や欧州との直接貿易を視野に入れた慶長遣欧使節の派遣は、幕府の鎖国体制が固まる直前の、極めて大胆なグローバル投資だったことが最新の解析で裏付けられている。