すべての運命が大きく動き出したのは、十九世宗家である夫・和泉元秀氏の突然の急逝だった。大黒柱を失った宗家は、突如として存続の危機に直面する。幼少期から厳格な稽古を受けていた若き和泉元彌が、若くして家主としての重責を背負わされることとなったのだ。
幼い息子を守り、伝統ある和泉宗家を断絶から救うため、知識も経験もないまま表舞台へと躍り出たのが節子氏だった。伝統芸能界という男社会の分厚い壁に対し、彼女は一切の怯みを見せなかった。時に無謀とも思える広報戦略を展開し、自らマイクを握ってメディアに立ち向かった姿は、日本中に大きな衝撃を与えた。