命を預かる上で避けて通れないのが、医療インフラの圧倒的な脆弱さである。犬猫を診察する一般的な動物病院では、体重1キログラムを超える大型インコの高度医療に対応できないのが実情だ。国内で大型鳥類を正確に診察できるエキゾチックアニマル獣医学の専門医は、大都市圏を含めても極めて限られている。
鳥類は体調不良を隠す習性があり、目に見えて元気がなくなった段階では病状が危険水域に達していることが多い。呼吸器疾患のアスペルギルス症や消化器障害、金属中毒の疑いで緊急搬送された場合、専門的な画像診断や血液生化学検査、集中治療室(ICU)管理によって、数日間の入院で数十万円単位の診療費が請求される。
鳥類を対象としたペット保険は補償割合や限度額に厳しい制限が設けられているケースが多く、人間のような公的医療保険制度は当然存在しない。突発的な大病や、老鳥期に多発する白内障・関節炎の長期ケアに備え、常に100万円前後の医療用予備資金を手元に確保しておくことが飼育者には求められる。