『ほんとにあった怖い話』の演出を手掛け、Jホラー(ジャパン・ホラー)のパイオニアとして世界的に知られる映画監督・鶴田法男。彼の演出美学は、ドカンと驚かせるハリウッド型の恐怖とは一線を画す。じわじわと忍び寄る不穏な空気感、静寂の中に響く足音、そして視線の端に何かが映り込む絶妙の間合いが特徴だ。
鶴田法男が生み出した「日常のすぐ隣に潜む怪異」というリアリティは、日本におけるオカルトおよびホラー表現のあり方を決定づけた。怪奇現象を単なる都市伝説や悪ふざけとして処理するのではなく、人間の心理的深層や土地の記憶と結びつけた叙情的な物語として描写することで、従来の単なる怪談番組を超えた文化的な深みを与えている。