美しく繊細な光の表現で世界を魅了する新海誠の作品や、世代を超えて愛されるノスタルジーと圧倒的生命力を描くスタジオジブリの美学。本作は、そうした日本アニメの黄金律に敬意を払いながらも、全く異なるベクトルである重厚なダークファンタジーの最高峰を目指している。
画面を彩る色彩設計は重厚かつ耽美。登場人物たちの心理的葛藤や、世界の不条理さを徹底的なリアリズムで描く手法は、これまでの同ジャンル作品とは明らかに一線を画している。倫理の限界に挑むかのようなショッキングな展開と、息をのむ美しさが同居する視覚表現は、大人の観客をも唸らせる極上のエンターテインメントへと昇華されている。