防災情報の利用において、多くの人が致命的な誤解をしているポイントがあります。それが「波浪警報が解除された=もう海は安全である」という思い込みです。
気象庁が警報を解除する基準は、「重大な災害が起きる危険性が低下した」と判断されたタイミングであり、平常時の安全な海に戻ったことを意味するわけではありません。多くの場合、波浪警報が解除された直後は「波浪注意報」へと切り替わります。注意報であっても波高2.5〜3メートル前後の高波が残っており、一般人が水辺に近づくには依然として危険極まりない状態です。
海面の波が収まる速度は、風の収束よりも大幅に遅れます。風速が落ちて暴風警報が解除された後も、遠洋からのうねりは数時間から丸一日にわたって打ち寄せ続けます。このタイムラグを知らず、警報解除のニュースを見てすぐに海辺へ出かけ、護岸を越えてきた残り波にさらわれる二次災害が後を絶ちません。
消波ブロック(テトラポッド)周辺の危険性も見過ごせません。高波が引いた後の消波ブロック周辺には複雑な渦潮と強い吸い込み流が発生しており、隙間に足を取られて転落すれば、自力での脱出は不可能です。警報が解除された当日いっぱいは、海辺への接近を避けるのが鉄則です。