ネット上の情報や教育系インフルエンサーの発信において、私立のメリットばかりが過度に強調される傾向がありますが、そこには見過ごされがちな重大な盲点が存在します。
典型的な誤解の一つが「私立に行けば面倒見が良いから塾代がかからない」という言説です。確かに私立校は補習体制や放課後講習を充実させていますが、進度の速いカリキュラムについていけなくなった生徒の救済には限界があります。中学受験を突破して難関私立に入学したものの、中2・中3の段階で授業についていけなくなり、私立校の進度に対応するための「個別指導塾」や「家庭教師」に月額5万〜10万円を追加出費する家庭が後を絶ちません。結果として、私立の高い学費に加えて公立生以上の塾代が重くのしかかる「二重課金」の罠に陥るケースは頻繁に見られます。
また、前述した教員の終身雇用的環境は、ネガティブに作用することもあります。指導力の低下した高齢教員や、時代錯誤な指導を続ける教員がいても、公立のように定期異動で去ることがありません。相性の合わない教員が学年の持ち上がりで連続して担任になるなど、人間関係の固定化による閉塞感が生じるリスクは私立ならではの死角です。
さらに、公立校を「手厚くない、時代遅れ」と切り捨てるのも誤りです。公立の教員採用試験を突破した若手教員の授業力や熱意は高く、予算が潤沢な自治体ではICT教育のモデル校として私立以上の先進設備を導入しているケースもあります。何より、多様な価値観の中で揉まれる経験は、将来社会に出た際のレジリエンス(精神的回復力)を育む土壌となります。