秋田県内には佐藤養助の直営店が複数点在していますが、なぜこれほどまでに「秋田店」へと人が集中するのでしょうか。現地を訪れて真っ先に実感するのは、アクセス性の良さと「本物を気軽に味わえる敷居の低さ」が奇跡的なバランスで両立している点です。
秋田駅西口の連絡通路を使えば雨や雪に濡れることなくアクセスできる西武秋田店の地下1階。のれんをくぐると、デパ地下の一角とは思えない静謐で木の温もりに満ちた和モダン空間が広がります。店内は広々としており、カウンター席からテーブル席までゆったりとした配置がなされていますが、席数が確保されているにもかかわらず開店直後から客足が絶えません。
最大の理由は、職人が手作業で三代・三島にわたる技法を継承してきた「完全手延べ・手綯い(てない)」による稲庭うどんの圧倒的な喉越しにあります。気泡を抱き込んだ滑らかな麺肌は、機械製麺では決して出せない絹のような舌触りと、噛みしめた瞬間の心地よい弾力を両立させています。公式資料でも語られている通り、宮内省(現・宮内庁)御買上げの栄誉を賜った歴史と伝統が、駅前のアクセスの良さと融合した結果、連日長蛇の列が生み出されているのです。