ネット上の情報では「閃輝暗点=片頭痛の前触れだから、痛みが引けば放置してよい」という誤った言説が散見されます。しかし、ここに臨床医学上の重大な盲点が潜んでいます。
最大の警戒ポイントは、「閃輝暗点の症状が出たにもかかわらず、その後に頭痛が全く起きないケース」です。医学界ではこれを「頭痛を伴わない閃輝暗点(無頭痛性閃輝暗点)」と呼び、特に40代後半から60代以降の中高年層で初めて発症した場合、脳梗塞、脳動静脈奇形、一過性脳虚血発作(TIA)などの脳血管障害の初期警告であるリスクが跳ね上がります。
若年層であれば片頭痛の一環として経過観察されることが多いものの、血管の柔軟性が低下した年代では、後頭葉へ血液を送る椎骨脳底動脈の血流不全が疑われます。「頭が痛くならなかったから軽症で済んだ」と自己判断して放置した結果、数週間後に本格的な脳梗塞を発症したという臨床例は後を絶ちません。片頭痛の既往歴がない中高年が視界のギラギラを経験した場合は、眼科だけでなく脳神経外科や頭痛外来でのMRI検査を受けることが強く推奨されます。