地域密着型のアミューズメント施設として高い稼働率を誇っていたラウンドワン市川鬼高店が閉店を公表した際、ネット上では「赤字による突然の経営破綻ではないか」「近隣商業施設との競合に敗れたのか」といった憶測が飛び交いました。しかし、運営元である株式会社ラウンドワンのIR情報や当時の公告資料を精査すると、まったく異なる経営判断の力学が見えてきます。
最大の決定打となったのは、「20年間の定期借地・建物賃貸借契約の期間満了」です。1990年代後半から2000年代初頭にかけて全国展開を加速させた同社は、多くの郊外型ロードサイド店舗において20年程度の長期事業用定期借地契約を締結していました。市川鬼高店もその典型例であり、契約満了の節目を迎えた段階で、土地所有者側との再契約交渉および建物の継続使用に関するシビアな損益分岐点の精査が行われました。
さらに背景にあったのが、建物の老朽化対策と大規模修繕コストの増大です。ボウリング場のレーン機構や空調システム、立体駐車場の補修には数億円規模の追加投資が避けられず、当時のアミューズメント業界を取り巻く法規制や消費電力コストの上昇も重なりました。同社は全国規模で不採算店や老朽店舗の「スクラップ&ビルド戦略」を断行しており、巨大なスポッチャを併設可能なメガスタジアム型旗艦店へ経営資源を集中させる方針をとっていました。その事業整理の波に乗る形で、契約更新を行わずに撤退を決定したのが真相です。