ネット上には一見手軽に見えても、香水の品質を致命的に損なう危険な誤解が拡散されています。以下の行為は絶対に行ってはなりません。
誤解1:スプレー穴に向けてアトマイザーから直接吹きかければ移せる
アトマイザーのフタを開け、至近距離から香水を何度もスプレーして溜めようとする行為は厳禁です。香水がミスト状になった瞬間、空気中の酸素と触れる表面積が数千倍に増大し、トップノートを構成するシトラスや揮発性アルコールが瞬時に蒸発してしまいます。結果として、香りのバランスが崩れ、本来のフレッシュさが失われた重い残り香ばかりが容器に溜まることになります。
誤解2:古い香水容器を水洗いして再利用すればエコである
使い終わったアトマイザーを水道水や市販のエタノールで水洗いし、別の香水を入れるのは避けてください。ノズルやチューブ内部に入り込んだ微細な水分は完全に乾燥させることが難しく、わずか1滴の残留水分でもアルコールと香料が分離し、香水の白濁やカビ・雑菌の繁殖原因になります。別の香水を充填する場合は、無水エタノール(純度99.5%以上)で内部を共洗いするか、容器そのものを新調するのが調香の純度を守るプロの常識です。
誤解3:ペンチで無理にカシメ金具を外してもフタを戻せば再利用できる
一度カシメ金具を工具で変形させて取り外すと、元の気密状態に戻すことは技術的に不可能です。フタを被せて置いただけの状態では、数週間でエタノールが揮発し尽くし、高濃度の香料オイルだけがベタベタに残った状態へと劣化してしまいます。