国際的な基準に目を向けると、興味深い乖離が見えてくる。世界保健機関(WHO)が提示するアジア人向けのウエスト基準は、男性90cm以上、女性80cm以上だ。日本国内の基準とは男女の数値が逆転している。
この差は、国際基準が主に疫学的な死亡リスクや心血管疾患の統計を重視しているのに対し、日本の基準は「内臓脂肪型肥満の直接的な面積」に焦点を絞っている点に起因する。基準の数値に一喜一憂するのではなく、腹囲の増減を通じて体内の脂肪分布の変化を読み取ることが本質だ。
内臓脂肪細胞は単なるエネルギーの貯蔵庫ではない。炎症性サイトカインを分泌し、高血圧や高血糖、脂質異常症を連鎖的に引き起こす活動的な内分泌器官だ。わずか数センチの腹囲増加が、血管の内皮機能に想像以上の負荷をかけている。