純レバ丼の知名度を決定的なものにしたのが、亀戸と錦糸町の中間に位置する老舗中華料理店「菜苑(さいえん)」です。『孤独のグルメ Season5』第10話で主人公・井之頭五郎が訪れ、真っ赤なタレを絡めたレバーと白飯の組み合わせに歓喜したシーンは、多くの視聴者に強烈な印象を植え付けました。
現在でも蔵前橋通り沿いにある菜苑の店頭には、平日・休日を問わずオープン前から長い列が形成されます。カウンター越しに繰り広げられる鍋振りの鋭い金属音と、立ち上る甘辛い醤油とニンニクの香ばしい煙。提供される純レバ丼は、ネギ大盛りのビジュアルが圧倒的で、角が立った鶏レバーのぷりぷりとした食感が際立ちます。
一口に純レバ丼と言っても、発祥の地である浅草エリアと、亀戸・錦糸町を中心とする城東エリアでは味のチューニングに明確な違いが存在します。
- 浅草系(あづまの流れ):タレの粘度が高めで、水飴や砂糖を効かせた直球の甘辛さが特徴。酒のつまみとしての「純レバ皿」から派生した歴史があり、より濃厚で重厚な後味を持つ。
- 亀戸・錦糸町系(菜苑の流れ):甘辛さの中に辣油や一味唐辛子のピリッとしたエッジが鋭く効いており、丼飯としてかき込む際の一体感を最優先に設計されている。ネギのカットが細かく、タレと米への絡みが抜群。
菜苑では丼だけでなく単品の「純レバ」も提供されており、昼は丼で満腹になり、夜はビールやハイボールのアテとして楽しむ常連客で賑わっています。