布引の滝は単一の滝を指す名称ではなく、生田川の上流にかかる「雄滝(おんだき)」「雌滝(めんだき)」「夫婦滝(めおとだき)」「鼓ヶ滝(つづみがだき)」という4つの滝の総称です。平安時代の『伊勢物語』や多くの和歌に詠まれ、古くから名瀑として人々に親しまれてきた格式高い景勝地です。
新神戸駅から整備された遊歩道に入ると、まず姿を現すのが優美な佇まいの雌滝(落差19メートル)です。木々に囲まれた滝壺はエメラルドグリーンに輝き、都市の喧騒を一瞬で忘れさせる清涼感に満ちています。
さらに石段を登り進めると、布引渓流の中で最もダイナミックな雄滝(落差43メートル)が眼前に広がります。白布を垂らしたように断崖を流れ落ちる迫力は圧巻で、滝壺のすぐ下流には2条の筋となって落ちる夫婦滝が連なります。滝の周辺には巨岩が削られてできた甌穴(おうけつ)も見られ、自然の造形美を間近で体感できる点が最大の魅力です。