京都の老舗社会において長らく美徳とされてきた「見て盗む」徒弟制度。この慣習に真っ向から風穴を開けたのも、佐々木氏の指導論だった。技術の秘密主義を排し、理論と背景をオープンに共有する。その結果、門下から独立した若手シェフたちが次々とミシュランの星を獲得し、京都をはじめ各地のレストランシーンを牽引する一大勢力となった。
これは旧来の閉鎖的な徒弟関係ではなく、個々が自立したクリエイターとして高め合う強固なネットワークだ。互いの店を行き来し、食材や技術の情報をアップデートし合う姿は、古都の食文化が次のステージへ進んだことを雄弁に物語っている。