ネット上の感想掲示板やSNSでは、「野原広子の漫画は後味が悪いイヤミス」「男叩き・主婦目線に偏っている」といった論評を見かけることがあります。しかし、これは作品表層だけを捉えた誤解です。
実際には、野原広子は「妻=被害者」「夫=加害者」という安易な二元論を描いていません。『妻が口をきいてくれません』でも、妻側の「言葉で伝える努力を放棄した頑なさ」が客観的に描写されており、どの登場人物にも等しく未熟さや弱さが割り振られています。
安易な悪者を作らず、「誰もが誰かにとっての加害者になり得る」という関係性の病理をフラットに描いている点こそが、作品が長く語り継がれる最大の要因です。