引き上げの波を最もダイレクトに受けているのが、人件費率の高い飲食・サービス業界だ。小規模な飲食店や居酒屋では、時給の底上げが即座に利益を圧迫し、値上げへ踏み切るか廃業を選ぶかの二択を迫られる店主も少なくない。アルバイト・パート労働に依存する店舗ビジネスの現場では、シフトのカットや営業時間短縮といった防御策を講じる動きが広がっている。
しかし、人手不足が常態化するなかで、単に時給を最低ラインに抑え続けるだけでは求職者が集まらないというジレンマも深刻だ。採用競合に対抗するため、最低賃金を上回る独自の設定を打ち出す店舗が増える一方で、人件費の高騰分をメニュー価格へ転嫁せざるを得ず、外食産業全体に物価高が循環する構造が定着しつつある。