太地町立くじらの博物館の最大の特徴は、一般的なコンクリート製水槽の枠組みを超えた、天然の入り江(自然プール)を活用したスケール感にあります。波が打ち寄せ、潮風が吹き抜ける海そのものの環境下で、ハナゴンドウやオキゴンドウ、バンドウイルカ、カマイルカといった多種多様な鯨類がのびのびと暮らしています。
本館のエントランスを抜けると、まず来館者を圧倒するのが天井から吊り下げられたセミクジラやツチクジラの実物大骨格標本展示です。全長十数メートルにおよぶ骨格を見上げながら歩く回廊は、生物進化の壮大さと捕鯨の歴史を視覚的に訴えかけてきます。館内には1,000点を超える捕鯨用具や学術資料が体系的に並び、文部科学省所管の学術施設としての高い専門性が伺えます。
ショープールおよび自然プールで開催されるパフォーマンスも見逃せません。一般的な水族館で見られるイルカショーに加え、ここでは身体の大きなゴンドウクジラたちが躍動する「クジラショー」が連日開催されています。トレーナーのサインに合わせて巨大な尾びれで水面を叩き、豪快なジャンプを披露する姿は、イルカの軽快なスピード感とは異なる圧倒的な重量感と迫力を放っています。