偏差値とは?点数より重視される理由と知られざる計算のカラクリ

偏差値とは?点数より重視される理由と知られざる計算のカラクリ

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受験相談の現場で最も頻発するトラブルが、「河合塾の全統記述模試では偏差値63だったのに、駿台全国模試を受けたら偏差値51に急落して志望校がE判定になった」という悲鳴です。この現象の背景には、模試判定の仕組みと真相を決定づける「母集団(テストを受けている集団)の学力水準の差」が存在します。

前述の計算式が示す通り、偏差値は「そのテストを受けた集団の中での位置」に過ぎません。受験層が異なれば、算出される数値の意味合いも根底から変容します。大手予備校が主催する模試の特徴をまとめた河合塾駿台模試偏差値詳細まとめの視点から比較すると、その格差は一目瞭然です。

「駿台全国模試」は、東大・京大や国公立大医学部を目指す超トップ進学校の生徒が挙って受験するため、母集団の学力水準が極めて高く、標準偏差が引き締まります。結果として、同じ受験生であっても河合塾の全統模試より偏差値が5〜10程度低く算出されるのが通例です。一方、全統模試は全国の中堅高校から最上位層まで幅広くカバーしているため、大学受験生全体の平均像に最も近い標準的な数値が得られます。さらに進研模試(ベネッセ)は全国の多様な公立・私立高校が学校単位で一斉受験するため、母集団の裾野が広く、河合塾よりさらに5〜8程度高く数値が出る傾向にあります。

これと全く同じ力学が、高校受験大学受験偏差値基準の決定的な断絶を生み出しています。高校受験時の偏差値は、原則として地域の中学生全員(高校進学率98%超)が母集団です。しかし大学受験では、専門学校進学や就職を選択する層が除外され、高校時代にある程度学力を鍛えた上位50〜60%程度が進学競争に参加します。

高校入試で「偏差値65」を誇っていた生徒が、高校進学後に大学模試で「偏差値50」を叩き出して愕然とするのは、本人の学力が低下したからではありません。「すでに選抜された母集団」の中で勝負しているため、立ち位置の数値がスライドしただけなのです。このカラクリを正しく把握していなければ、無用な焦燥感に囚われることになります。

木村 陽翔
著者

木村 陽翔

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。