なぜこれほど医学教育の基盤が整っている順天堂大学が、薬学部を新設しないのでしょうか。そこには、一般の受験生や保護者がほとんど認知していない、国の高等教育政策と医療業界のシビアな構造問題が立ちはだかっています。 最大の壁となっているのが、文部科学省による「薬学部新設・入学定員増の原則不認可方針」です。 厚生労働省の「薬剤師の養成及び資質向上等に関する検討会」が公表した需給推計によると、将来的に薬剤師数は需要を大幅に上回り、2045年には最大で約12万6,000人もの薬剤師が供給過剰になる可能性が指摘されています。2006年の薬学教育6年制移行に伴い、私立大学を中心に薬学部の乱立が続き、地方中下位校では定員割れや国家試験合格率の極端な低迷(30〜40%台)が深刻な社会問題となりました。 こうした質の低下と将来の過剰供給に歯止めをかけるため、文科省は大学設置認可基準を厳格化し、2025年度以降の薬学部新設や既存学部の定員増を原則として認めない方針を打ち出しました。 「医学部や看護学部で成功を収めた順天堂であっても、政策の逆風が吹き荒れる中で新規に薬学部を立ち上げるリスクは極めて高い」と医療政策関係者は指摘します。「新設に必要な巨額の設備投資(創薬・分析機器、無菌室など)と専任教員の確保、さらに将来の薬剤師余りリスクを考慮すれば、経営判断として薬学部新設へ踏み出す合理性は見出しにくいのが実情です」。 もし仮に将来、順天堂大学が薬学教育への参入を目指すシナリオがあるとすれば、ゼロからの新設ではなく、経営難に喘ぐ既存の薬科大学や私立大学薬学部を「事業譲渡・統合(M&A)」する形しか残されていません。かつて慶應義塾大学が共立薬科大学を統合して薬学部を誕生させたような大型再編が起きない限り、「順天堂大学薬学部新設」という青写真が現実化する可能性は極めて低いと言わざるを得ません。
順天堂大学薬学部の偏差値は?存在しない真相と新設動向を徹底検証
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