劇的なハードウェアの刷新が進む一方で、最も繊細な配慮が求められているのがクラブの魂の継承だ。名将サー・アレックス・ファーガソンの名を冠したスタンド、外に佇む銅像、そして1958年のミュンヘンの悲劇を祈念する時計やプレートなど、オールド・トラッフォードには失ってはならない記憶が刻まれている。
古参サポーターの間には、近代化によって商業主義に魂を売り渡すのではないかという懸念が根強い。クラブ側は新設計において、歴史的モニュメントを単に移設するだけでなく、より際立つ形で空間の中心に据える意向を示している。伝統への敬意と未来への野心をいかに調和させるかが、この計画の成否を分ける精神的な鍵だ。