下処理と調味料の計量が終われば、あとは加熱のコントロールです。煮魚の加熱において最も重要な道具が「落とし蓋」です。カレイの煮付けにおける落とし蓋のコツは、鍋の直径よりも一回り小さいアルミホイルやクッキングシートの中央に直径1cm程度の穴を開けて使用することです。
落とし蓋を密着させることで、沸騰した少量の煮汁が蓋の下で勢いよく対流し、魚の上面まで均一に煮汁が行き渡ります。重い木蓋を使うと魚の身を押し潰して煮崩れの原因になるため、軽やかな素材を選ぶのがポイントです。
加熱時間に関しては、カレイの煮汁を煮詰める時間を含めて全体で約10〜12分が理想です。鍋に煮汁(酒、みりん、醤油、砂糖、生姜)を入れて強火でしっかりと沸騰させ、泡が立ったところにカレイを並べ入れます。落とし蓋をして「中火〜強めの中火」を保ちながら8分間煮ます。その後、落とし蓋を外して煮汁をスプーンや玉子焼き用のヘラですくい、魚の表面に回しかけながら強火で1〜2分煮詰めることで、見事な照りが生まれます。
特に難易度が高いとされる子持ちカレイの煮付けの火加減では、卵巣部分への熱伝導が遅いため工夫が必要です。卵の中心まで火を通そうと強火で加熱し続けると、外側の身が先にパサついてしまいます。最初に中火で煮る時間を通常の8分から10〜12分へと延ばし、決して強火にしすぎず、煮汁の細かな泡が魚全体を包み込む状態を維持することが成功への鍵となります。