動物病院の相談窓口やペットコミュニティにおいて、「昼間は走り回っているのに、犬がフガフガと寝てる時に限って苦しそうにする」という切実な声が数多く寄せられています。リラックスして横たわっている最中に発生する鼻鳴らしは、単なる逆くしゃみとは異なる病理学的背景を含んでいるケースが少なくありません。
就寝時は全身の筋肉が弛緩するため、軟口蓋(喉の奥の柔らかい肉)が気道へと落ち込みやすくなります。特にフレンチ・ブルドッグ、パグ、ボストン・テリアなどの短頭種では、咽頭の構造的狭窄から「睡眠時無呼吸」に陥り、激しいフガフガ音とともに突然飛び起きる現象が報告されています。これは慢性的な低酸素血症を招き、将来的な心臓への過剰な負荷に直結します。
また、シニア期に入った犬が夜間に鼻を鳴らしながら徘徊したり、寝苦しそうに姿勢を何度も変えたりする場合、初期の心不全に伴う肺水腫の兆候であることもあります。「寝息が以前より格段に大きくなった」「フガフガ音が止まらず熟睡できていない」という飼い主の観察は、病気の早期発見における極めて重要な一次情報となります。