東京タワー蝋人形館の閉館理由と現在|名物ロック人形と拷問の行方

東京タワー蝋人形館の閉館理由と現在|名物ロック人形と拷問の行方

東京タワー蝋人形館の閉館理由と現在|名物ロック人形と拷問の行方の見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

東京タワー蝋人形館の歴史を語る上で欠かせないのが、他の追随を許さないあまりにも尖りすぎた展示コンセプトです。館内は大きく分けて「歴史的偉人・宗教画の再現」「中世ヨーロッパの拷問・処刑」「世界的ロックミュージシャン」という、極端な3つのゾーンで構成されていました。

特に当時の子どもたちを恐怖のどん底に突き落としたのが「拷問ゾーン」でした。薄暗い通路を進むと現れる、ギロチン台で首を刎ねられる罪人、串刺しの刑に悶える姿、鉄の処女(アイアン・メイデン)に閉じ込められる犠牲者など、血飛沫や苦悶の表情までリアルに再現された展示は、まさにトラウマ級の怖さを誇っていました。当時の来館者からは「お化け屋敷よりも遥かに生々しくて夜眠れなくなった」「親に連れて行かれて泣き叫んだ」という証言が数多く寄せられています。

一方で、音楽ファンを狂喜乱舞させたのが、世界中のどこを探しても存在しないマニアックな「ロックミュージシャン」の蝋人形コーナーでした。これは当時の支配人兼プロモーターであった菅原洋一氏の個人的な音楽愛と審美眼が色濃く反映されたもので、ビートルズやエルヴィス・プレスリーにとどまらず、プログレッシブ・ロックの巨匠たちが異常な熱量で配置されていました。

とりわけ、フランク・ザッパの不敵な笑み、キング・クリムゾンを率いるロバート・フリップの神経質な佇まい、イエスのスティーヴ・ハウ、リック・ウェイクマン、ジェスロ・タルのイアン・アンダーソンが片足立ちでフルートを吹く姿など、プログレ・サントラ・ハードロック界の伝説たちが精巧な蝋人形で再現されていた光景は圧巻でした。海外のミュージシャン本人が来日時にプライベートでお忍び訪問するほどの「世界的な音楽の聖地」と化していたのです。

加藤 愛美
著者

加藤 愛美

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。