鉄道各社が発信する運行情報において、「線路内人立ち入り」は文字通り「列車の運行区域である軌道内に、正規の手続きを経ずに人間が侵入または立ち入った状態」を指します。決して鉄道会社が裏で使う隠蔽目的の暗号ではありません。
利用者の間で最も混同されやすいのが「人身事故」との境界線です。国土交通省の運転事故統計および鉄道事業者の運行基準において、両者は明確に区別されています。
「人身事故」は、列車と人間が物理的に接触・衝突し、死傷者が発生した事態を指します。現場検証、救急搬送、遺留品回収、警察の鑑識活動が必要となるため、運転再開まで平均60分〜90分程度を要するのが通例です。
一方の「線路内人立ち入り」は、列車との接触が起きる前の段階、あるいは接触せずに逃走・退避した状態を指します。接触事故を未然に防ぐための緊急停止措置が取られるため、人的被害が出ていなくても安全が確認されるまでは物理的に電車を動かせない仕組みになっています。