「猫の手も借りたい」という慣用句は、「誰でもいいから、どんな些細な力でもいいから手伝いがほしいほど非常に忙しいさま」を指します。国語辞典や各種言語資料においても、単に仕事量が多い状態を表すだけでなく、「助け手の能力や条件を問う余裕すらない切迫感」を示す表現として定義されています。
ここで重要なのは、この言葉が持つ「皮肉と自虐のニュアンス」です。人間社会において猫の手は小さく丸みを帯びており、物をつかむことも道具を操作することもできません。つまり、「労働力としてまったく役に立たないものの代表格」として猫の手が選ばれています。「そんな役立たずの手であっても、ないよりはましなほど切羽詰まっている」という極端な比喩を用いることで、自らの過密な状況を強調している点に本質があります。
したがって、この表現を使う際の主語は基本的に「自分自身の多忙さ」であり、他者に対して無条件に投げかけてよい言葉ではないという前提を理解しておく必要があります。