二日酔いの朝、「水分をとにかく摂らなければ」と冷たいミネラルウォーターを数リットル一気飲みしたり、すっきりしたい一心で濃い緑茶やコーヒーを流し込んだりしていないでしょうか。実はこの行動こそが、体調不良に拍車をかけている典型的な誤りです。
人間の身体には体液の浸透圧を一定に保つ仕組みが備わっています。電解質が枯渇した状態で純粋な水だけを大量に流し込むと、血液中の塩分濃度が急激に薄まり、脳は「水分過多」と誤認して尿として水分を排泄しようとします。これがいわゆる自発的脱水症と呼ばれる現象です。水ばかり飲んでいるのに口の渇きが収まらず、トイレの回数だけが増えて身体の細胞が潤わないのは、この浸透圧の狂いが原因にほかなりません。
また、緑茶やコーヒーに含まれる豊富なカフェインは、中枢神経を覚醒させる反面、強力な利尿作用を持っています。ただでさえ渇ききっている血管や細胞からさらに水分を奪い取るだけでなく、荒れ果てた胃粘膜に強い刺激を与え、吐き気や胃痛を悪化させるリスクを伴います。
そして最も危険な迷信が「迎え酒」です。「朝から缶チューハイを飲んだら頭痛が消えた」と語る人がいますが、これは痛覚や不快感をアルコールの麻酔効果で一時的に麻痺させたに過ぎません。体内のアセトアルデヒド濃度をさらに跳ね上げ、肝臓への負担を倍増させてクラッシュを先送りにしているだけです。朝の身体に必要なのは麻酔ではなく、代謝の再起動を助ける正しい水分と栄養補給です。