ジーンズ愛好家の間では、裾上げといえば「ユニオンスペシャル社製のミシンによるチェーンステッチ裾上げでなければならない」という言説が根強く語られます。裏側が鎖状に編まれるチェーンステッチは、洗濯時に糸が強く収縮することでデニムの裾に独特の斜めのねじれ(パッカリング・縄状のウネ)を生み出し、美しいヴィンテージのアタリを作り出します。
しかし、現代のデイリーユースにおいて、この「チェーンステッチ至上主義」には大きな盲点が存在します。
まず、一般的なシングルステッチ(直線縫い)と比較して、チェーンステッチは構造上「一箇所糸が切れると連鎖的に端まで一気に解けてしまう」という致命的な弱点を持っています。また、現代のストレッチ混デニムやワイドストレートシルエットにおいては、過度な裾のパッカリングが逆に足元のクリーンな落ち感を邪魔してしまうケースも少なくありません。
さらに、ジーパン裾上げ現在のトレンドを俯瞰すると、あえて完璧に縫い上げず、裾を水平にカットしただけの切りっぱなしフリンジ加工(カットオフデニム)を楽しむスタイルが幅広い世代に定着しています。裁ち鋏で希望の長さに切り落とした後、洗濯機で通常通り洗うだけで、フチから自然な白いフリンジが生まれ、こなれた抜け感を演出できます。ほつれが広がりすぎるのを防ぐには、切り口から5mmほど上に木工用ボンドや布用接着剤をごく薄く塗布しておくか、手縫いで細かく波縫いを入れておくだけで十分です。