バカリズムの脚本家としての才能が世に知れ渡る決定打となったのが、自身がOLになりきって綴ったブログを原作とする『架空OL日記』だ。銀行員たちの給湯室での愚痴や、行員食堂での献立をめぐる議論。男が書いているとは思えないほど緻密でリアリティあふれる台詞回しは、視聴者に「自分の職場を見られているのではないか」という錯覚すら与えた。
一方で、竹野内豊が主演を務めた『素敵な選TAXI』では、やり直しができる不思議なタクシーを舞台に、人間の愚かさと愛おしさを巧みな会話劇で描き出した。両作に共通するのは、登場人物たちが特別に格好良い台詞を吐かない点だ。どこにでもいる人々の少しだけ滑稽な日常を切り取ることで、視聴者との間に圧倒的な親近感を生み出す。この超・写実的リアリズムこそが、彼の作品を唯一無二のエンターテインメントへと昇華させている。