SNSや医療相談掲示板を分析すると、側頭部の痛みに悩む生活者の実像がくっきりと浮かび上がります。
「美容室でシャンプーやヘッドスパを受けた際、左のこめかみの上を押された瞬間に激痛が走り、思わず声を上げてしまった」「洗髪時に自分で頭皮を洗うだけでピリピリと痛む」「仕事終わりの夕方になると、側頭部を指で押し込まないと耐えられないほど重苦しくなる」といった声が数多く寄せられています。当事者の多くは「眼精疲労がたまっているだけ」「スマホを見すぎたせい」と捉え、市販の鎮痛薬を漫然と飲み続けたり、硬直した筋肉を自己流で力任せに揉みほぐそうとしたりする傾向が確認できます。
しかし、頭痛専門医の外来を取材すると、ここに重大な落とし穴があります。長時間のPC作業やスマートフォン操作に起因するストレートネック 頭痛を抱える人が、側頭部を強く指圧しすぎた結果、筋組織の炎症を悪化させて筋膜性疼痛を長期化させているケースが後を絶ちません。さらに深刻なのは、側頭動脈炎の前兆である「血管の硬結(しこり)」をコリと勘違いして揉みほぐそうとし、強い痛覚過敏を誘発させてから来院するケースです。ネット上のセルフケア情報を無批判に取り入れることの危うさが浮き彫りになっています。