地盤の転圧を軽視した結果として最も頻発するのが、均等に沈まず一部だけが歪に沈降する「不同沈下(不等沈下)」です。工事直後は表面が綺麗に整地されているため、発注者やDIY施工者は完璧に仕上がったと錯覚しがちですが、転圧不足の爪痕は数カ月後、あるいは最初の台風や豪雨の後に牙を剥きます。
住宅地盤や外構工事の事故事例を調査すると、地盤沈下を引き起こす典型的な手抜き工事の手法が浮かび上がってきます。代表的なものが「一度に厚く土や砕石を敷き詰め、表面だけを軽く均して終わらせる」というパターンです。転圧機械の圧力が土中深くまで届く有効深度は限られており、深さ30cmの穴に砕石を一気に投入して表面だけ機械を走らせても、締まるのは上部5〜10cm程度に過ぎません。下層は隙間だらけの軟弱層のまま取り残されます。
この状態で自動車(車両総重量1.5t〜2.5t)が繰り返し乗り入れると、タイヤの直下だけに凄まじい輪荷重がかかります。さらに雨水が隙間に流れ込むことで土粒子が洗い流され、地下に空洞が発生。最終的にはアスファルトやインターロッキングが波打ち、鉄筋の入っていない土間コンクリートであれば真っ二つに割れる大惨事へと発展します。基礎の沈下が建物本体にまで波及した場合、基礎補強のアンダーピニング工法など数百万円規模の是正費用が請求される事態も珍しくありません。