『テセウスの船』を語る上で欠かせないのが、東元俊哉による原作コミックとTBSドラマ版におけるプロットの差異です。原作ファンにとっても、ドラマ版の結末は予測を完全に覆す鮮烈なツイストとなりました。
原作漫画における真犯人の主軸は、大人になった加藤みきお自身であり、田中正志は過去のタイムラインで命を落とすなど、黒幕としての立ち位置は担っていませんでした。しかしドラマ版の制作陣は、原作連載と並行して進行する中で「視聴者が毎週考察を重ねる体験を極大化させる」ため、大胆な原作改変に踏み切りました。その中核に据えられたのが田中正志の真犯人化です。
この改変により、物語は「異常犯罪者との知恵比べ」から「閉鎖的コミュニティが生み出した悲劇の連鎖」へと深化し、日曜劇場らしい重厚なヒューマンドラマの色彩を強める結果となりました。