ネット掲示板やSNSでは、定期的に万引きGメンやらせ疑惑の真相が議論の的となります。「あんなに都合よく万引き犯が現れるのか」「犯人のリアクションが台本通りではないか」という疑問です。この疑惑の背景には、テレビメディア特有の演出手法と現場の過酷なリアリティとの乖離があります。
かつて民放キー局で頻繁に放送された密着特番において、一部の制作会社が「分かりやすい悪役」を仕立て上げたり、店舗側の協力のもとで再現映像を実際の摘発シーンのように見せかけたりした事例が批判を浴びた過去は事実です。また、カメラクルーが複数人同伴して目立つ状態で追跡できるはずがないという指摘も、視聴者の不信感を増幅させました。
実際の現場は、テレビ番組のような派手な逃走劇や怒号の応酬ばかりではありません。現代における万引きの現実は、生活困窮に起因する高齢者の衝動的犯行や、高額な化粧品・医薬品を狙うフリマアプリ転売目的の組織的犯行が主力を占めています。組織的な窃盗グループは、見張り役、カゴ運び役、持ち出し役と役割を分担し、インカムを使って連携するため、単独の保安員が力づくで解決できるような単純な構図ではなくなっています。淡々と証拠を固め、法と手順に則って事務的に警察へ引き渡す冷徹な日常こそが、画面には映らない現場の真実です。