私たちが地震を感じる際、最初に届く「カタカタ」という縦揺れはP波(体震波の初動)によるものだ。波の伝播方向と平行に粘土層や岩盤を収縮・膨張させながら秒速6〜7キロメートルという圧倒的な速さで駆け抜ける。しかし、本当の被害をもたらすのはその直後に到達するS波だ。
S波はせん断波とも呼ばれ、地盤を左右や前後に大きくねじ切るように振るわせる。この二次波がもたらすエネルギー密度は極めて高く、建物の基礎部分から上部構造へ向けてエネルギーが連続的に伝播する過程で、水平方向のせん断応力を急激に増大させる。縦揺れによって柱にかかる軸力が瞬間的に抜けたタイミングで強い水平動が重なると、一括破壊と呼ばれる悲劇的な構造崩壊につながる危険性が指摘されている。