主婦の友社の経営を論じる上で外せない決定的な転換点が、2017年12月のカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)による買収・子会社化です。それまで大日本印刷(DNP)傘下にあった同社株をCCCが取得し、TSUTAYAや蔦屋書店を展開するカルチュア・エンタテインメントグループの中核出版社として再スタートを切りました。
この大株主交代の局面において、業界内では「創業者一族の手を離れた」「老舗ブランドの独立性が揺らぐ」といった感傷的な論評や、出版不況下での財務健全性を懸念する声が上がりました。事実、同社の歴代社長や役員人事を見ると、DNP出身者からCCCグループのメディア事業幹部へと経営トップの顔ぶれが交代し、従来の雑誌中心の一本足打法から、IPビジネスや電子書籍、ライトノベル事業へとリソースの大胆な再配置が行われています。
「主婦の友社の業績と経営状況が悪化しているのではないか」という懸念の背景には、看板女性誌であった『Ray』『mina』『S Cawaii!』などの発行形態見直しや事業譲渡、Webメディア化といった大胆な事業ポートフォリオの組み換えがあります。伝統的な雑誌が姿を消す動きを、外部の観察者が「経営危機」「社内不正による衰退」とネガティブに結びつけて解釈したことが、風評を後押しした側面は否定できません。
しかし実態としては、ライトノベルレーベル「ヒーロー文庫」のアニメ化ヒットやコミカライズ事業、料理・育児・健康の実用単行本における堅調な売上など、デジタル・キャラクターIPを軸とした収益構造の転換が進んでいます。親会社による内部統制やコンプライアンス管理の導入も進み、むしろガバナンス体制は旧来の中堅出版社時代よりも引き締まっているのが現場の真実です。