1997年に世界最高峰の営業最高速度300km/hを達成し、航空機のような円筒形キャノピーで一世を風靡した500系新幹線がなぜ引退へと向かうのか。その背景には、N700系への置き換え計画と山陽新幹線の運用効率化という極めて現実的な経営課題が存在します。
最大の理由は、部品調達の限界とメンテナンスコストの増大です。500系専用の機器や電気系統の補修部品はすでに製造中止となっているものが多く、他編成からの部品取り(共食い整備)で運用を維持する状況が続いています。さらに、東海道新幹線から余剰となったN700系を16両から8両編成に改造して山陽新幹線の「こだま」に転用する計画が加速しており、車両性能や車内設備(全席禁煙化・バリアフリー対応・各席コンセント設置)をN700系水準へ統一することが急務となっています。
円筒形断面ゆえの窓側席の狭さやドア位置の違いも、ホームドア設置が進む現代の駅構造において運用の制約となっていました。技術の粋を集めたフラッグシップ車両も、時代の要請とともに後進へ道を譲るフェーズに突入しています。