インカレ決勝終了のブザーが鳴り響いた瞬間、ベンチから飛び出した選手たちの歓喜の輪は、単なる1勝の喜びを超えた重みを持っていました。2017年から2021年にかけて成し遂げたインカレ5連覇という空前絶後の黄金期を経て、王座を明け渡していた3年間の悔しさを払拭する会心の勝利だったからです。
東京医療保健大学バスケ部が誇る強さの最大の源泉は、徹底した「状況判断のスピードと選手個々の自律性」にあります。チームの創設者であり、後にバスケットボール女子日本代表ヘッドコーチも務めた恩塚亨氏が植え付けた哲学は、「ベンチからの指示を待って動くのではなく、コート上の5人が目の前の一瞬のズレを見逃さず、最適解を即座に共有・実行する」というプレースタイルでした。
現在チームを率いる赤星雲峰ヘッドコーチは、この思考フレームをさらに緻密化させました。相手のディフェンス陣形に対するリアクションではなく、自らのアクションによって相手を動かし、判断の迷いを誘発する高度なスペーシング戦術を確立。第77回大会でも、相手の厳しいフルコートプレッシャーに対して動じることなくボールを配給し、勝負どころで高確率のペイントアタックを成功させました。
単なる根性論や反復練習に頼らず、「なぜこのスペースが生まれるのか」「相手がどう守ってきたらどこを攻めるべきか」というバスケットボールの原理原則を選手一人ひとりが論理的に言語化できるレベルまで落とし込んでいる点こそ、他大学が容易に模倣できない強さの理由です。