ネット上の口コミサイトやSNSでのリアルな投稿を分析すると、高評価を下しているユーザーと低評価に終わったユーザーの間には、ある「決定的な時間認識のズレ」が存在します。
「置いた瞬間からアリが我先にと粒を運び出し、翌日にはあれほどいたアリが1匹もいなくなった」という絶賛の声がある一方で、「半日経ってもアリが1匹も死んでいない。効き目ゼロ」と即座に製品を片付けてしまうケースが散見されます。ここに、ベイト剤特有のヒドラメチルノンという有効成分のメカニズムに対する誤解があります。
ヒドラメチルノンは、昆虫の細胞内にあるミトコンドリアの電子伝達系を阻害し、エネルギー(ATP)産生を停止させる作用機序を持っています。スプレー殺虫剤のような神経毒ではないため、摂取した瞬間にコロリと落ちる即効性はありません。あえて「数時間〜1日かけてゆっくり効く」ように設計されています。なぜなら、その場でアリが即死してしまうと、巣に持ち帰って仲間に分け与えることができなくなるからです。
アリの社会には、持ち帰った餌を胃の中に蓄え、口移しで仲間や幼虫、そして卵を産み続ける女王アリへと分け与える「栄養交換(トロファラクシス)」という習性があります。働きアリが元気な状態で巣に戻り、巣内の全個体に毒餌を行き渡らせるまでに最低でも2日〜3日、コロニー全体が完全に壊滅するまでには1週間前後の全滅期間を要します。現場で成功を収めているユーザーは、設置後にアリが粒を運ぶ姿を確認した後、薬剤を信じて数日間「あえて静かに放置」を貫いています。