リアリティショーに先駆けて、この問題の持つ陰鬱な構造と社会との摩擦を精緻なドラマとして描き出したのがHBO制作の金字塔『ビッグ・ラブ』だ。表向きは平凡な実業家でありながら、裏では3つの家庭と3人の妻を巧みに使い分ける主人公の葛藤を描き、エミー賞など数々の賞賛を浴びた。
HBOの鋭い眼光は、単なるスキャンダリズムに終始することなく、近隣住民への身バレの恐怖、子供たちの苦悩、さらには背後にあるカルト的共同体の権力闘争までを緻密に暴き出した。ドラマが示したのは、秘密を抱えて生きることの精神的破滅リスクである。
フィクションでありながら極めて高度な取材に基づいた演出は、世間の偏見と当事者の主観的幸福感との間にある底知れぬ溝を抉り出した。視聴者は、法律や倫理の枠外にある「家族の愛の形」に対して、安易な結論を出すことを拒まれる。