古くから日本では、自然現象の観察から天気を予測する「観天望気(かんてんぼうき)」が受け継がれてきました。「羊雲が出ると翌日は雨」「うろこ雲が出たら天気が下り坂」といった天気のことわざを耳にしたことがある人は多いはずです。この伝承は、現代の気象科学から見ても非常に理にかなっています。
日本列島の上空に西から低気圧や温暖前線が近づいてくると、前線面の傾斜に沿って暖かく湿った空気が這い上がり、高い空から順番に雲が形成されていきます。このときの雲の変化には決まった順序があります。
最も高い空に筋状の「巻雲(すじ雲)」が現れた後、薄いベール状の「巻層雲」、そして粒状のうろこ雲(巻積雲)へと変化します。この段階ではまだ天気が崩れるまでに12時間〜24時間ほどの猶予があります。
やがて前線がさらに接近し、空の湿度が中層まで上がってくると現れるのが羊雲(高積雲)です。羊雲が空一面に広がり、次第に厚みを増して灰色の「高層雲(おぼろ雲)」や「乱層雲(雨雲)」へと変わっていくと、数時間から半日以内には本格的な雨が降り出すサインとなります。つまり、うろこ雲よりも羊雲を目撃したときのほうが、雨が降るまでのカウントダウンが急速に進んでいると言えます。