沖縄の映画興行を牽引するスターシアターズが運営していたミハマ7プレックスは、2026年4月16日の最終上映をもって25年半の歴史に幕を下ろしました。県内初の大規模シネマコンプレックスとして登場した同館が営業終了に至った背景には、単一の要因ではなく複数の構造的課題が重層的に存在していました。
最大の決定打となったのは、「定期建物賃貸借契約の期間満了」と「施設の物理的耐用年数の限界」です。1997年7月に開館した建物は、塩害を受けやすい沖縄西海岸の沿岸部に立地していたこともあり、映写設備や音響システムのみならず空調・電気系統などのインフラ全体に大規模な修繕・更新投資が必要な時期を迎えていました。賃貸借契約の更新期にあたり、巨額の設備投資を実行して契約を延長するか、それとも撤退するかというシビアな経営判断を迫られたのです。
さらに見逃せないのが、近隣商圏における劇場の自社競合(カニバリゼーション)です。2015年に開業した「イオンモール沖縄ライカム」内に、同じスターシアターズが最新鋭の設備を備えた「シネマライカム(16スクリーン)」をオープンさせたことで、中頭郡・沖縄市周辺の観客動向は大きくシフトしました。車でわずか15分から20分程度の距離に最新鋭の巨大シネコンが存在するなかで、老朽化した7スクリーンの劇場を維持する経営的合理性が薄れていたという実態が浮き彫りになります。