『笑顔』の持つメッセージ性を何倍にも増幅させているのが、ボーカル吉岡聖恵の圧倒的な歌唱表現と、その表情を克明に捉えたミュージックビデオ(MV)です。
本作のMV監督を務めたのは、数々の名作映画やMVを手掛けた三木孝浩監督。MVではほぼ全編にわたり、吉岡聖恵の顔のアップをワンカットに近い長回しで捉えるという極めて大胆な手法が採用されました。過剰なセットや演出効果を排し、カメラをまっすぐに見つめながら歌い続ける吉岡の表情は、時に微笑み、時に感情が溢れて涙ぐむかのような繊細な揺らぎを見せます。
関係者の証言や当時の制作秘話によると、吉岡はこの撮影において「聴いてくれる一人ひとりの顔を思い浮かべながら歌った」と明かしています。一切のごまかしが利かない至近距離のカメラワークの中で、彼女の真っ直ぐな瞳と、ブレス(息継ぎ)ひとつにまで感情を込めたボーカルがシンクロしたことで、観る者に対して「自分だけに語りかけてくれている」という強烈な親密感を与える映像作品となりました。