ネット上のマタニティコミュニティで最も頻繁に議論されるのが、つわりの症状タイプによる性別の違いです。代表的な俗説として「吐きづわりは男の子」「食べづわりは女の子」という分類や、「ジャンクフードや肉類などしょっぱいものが欲しくなると男の子」「チョコレートやフルーツなど甘いものが食べたいつわりは女の子」という味覚の変化に関する説が挙げられます。
この言説が広まった背景には、昔ながらのジェンダー観に基づいた連想があります。男の子は「活動的で肉食系」「母親と異なる男性ホルモンを持つため母体が拒絶反応を起こして吐く」、女の子は「お菓子や果物を好む」「同性だから母体への拒否反応が少なくて食べづわりで済む」といった、直感的に腑に落ちやすい物語が民衆の間で形成されてきた歴史があります。
しかし、こうした分類に生理学的な裏付けは存在しません。妊娠初期の食欲や嗜好の変化は、母体の血糖値コントロール機能や自律神経の乱れ、亜鉛などの微量ミネラル不足によって引き起こされる現象であり、胎児の性別によって特定の味覚受容体が書き換わるという事実は医学的に確認されていません。「フライドポテトばかり食べていたのに女の子が生まれた」「激しい吐きづわりで入院までしたが元気な男児だった」という反例は枚挙にいとまがなく、あくまで偶然の一致をパターン化した俗説に過ぎません。