火山防災において最も危険なのは、ネット上の断片的な情報によって生じる「誤った安心感」と「根拠のないパニック」です。雌阿寒岳に関しても、以下の2つの大きな誤解が存在します。
誤解1:「噴火警戒レベル1=絶対に安全」という思い込み
多くの一般登山者が陥りがちなのが「レベル1なのだから普段の山と何も変わらない」という油断です。しかし、気象庁の定義においてレベル1は「活火山であることに留意」であり、潜在的な噴火リスクがゼロになったわけではありません。2014年の御嶽山噴火がレベル1の状態で発生したように、水蒸気噴火は突発的に火口周辺へ噴石を飛散させる危険を常に孕んでいます。
誤解2:「阿寒湖全体が壊滅的な被害を受ける」という過剰なデマ
SNS上では「雌阿寒岳が噴火したら阿寒湖温泉街や道東全域が壊滅するのではないか」という極端な言説が散見されます。しかし、近年の雌阿寒岳の噴火は規模が極めて限定的な小規模水蒸気噴火が主体です。火口から数キロ離れた阿寒湖温泉街や足寄市街地に対しては、主に風向きによる降灰や火山ガス対策が重要となるのであり、ハザードマップ上でも居住区域への溶岩流到達などは想定されていません。